木を見て森を見ず
なんて言葉、聞いたことありますか?
目の前の物事の一部に集中するあまり、その全体を把握できていない状態のことです。
どんな物事でも、一歩引いて全体のバランスを考えることは大切です。算数、数学も同じです!
今自分が出そうとしている値は、問題全体でみるとどの部分に当たるのか?どんな役割を果たすのか?
そんなことを意識しながら、回答していきましょう。
【問題】
Nを整数とします。1からNまでの整数のうち、3の倍数の個数をA、4の倍数の個数をB、3の倍数でも4の倍数でもない数の個数をCとします。
(1)Nが50のとき、A、B、Cをそれぞれ求めなさい。
(2)Cが12となるようなNをすべて求めなさい。
(3)Nを1から250までの整数とします。NがCの2倍となるようなNは何個ありますか。
(4)AとBの差が15となるようなNは何個ありますか。また、これらの数のうち、最も小さい数と最も大きい数をそれぞれ求めなさい。
各倍数の個数を調べて整理する問題ですね!
(1)から順番に難易度が上がっていくのが通常です。だいたい(1)は力技でも解けてしまうので、絶対に点数を取りたいところ。
前編の本記事では(1)(2)を解説します!
(1)
Nが50なので、1〜50までの整数について考えます。
これは基礎的な問題ですね!
A:3の倍数は何個あるのか。
3、6、9、・・・45、48
まであります。3から始まって、3個に1回のペースで3の倍数は登場します。
というわけで、
50÷3=16余り2
よって、A=16
B:4の倍数も同様に求めましょう。
50÷4=12余り2
よって、B=12
さあ、50個の整数のうち3の倍数と4の倍数の個数はわかりました!
あとは残ったCを考えれば終わりです!
C=50-A-B
・・・って書いたらアウトです!!!
なんでダメなのか?
実は、このAとBのグループには重複している部分があるからです!!
(青色部分が、重複部分。)
1~Nまでの整数において、「3の倍数であり、4の倍数でもある整数」ってありますよね。
ここではDと呼びましょう。
例えば24。2×3×4なので、約数に3と4を含みます。
3の倍数でもあり4の倍数でもあるならば、3×4=12の倍数を探せばOKです。これでDの個数を求めましょう。
50÷12=4あまり2
よって、D=4(個)です。
それでは、Cを計算しましょうか!
全体からAとBを引いて、さらに重複して(2回分)引いてしまったDの部分を1回足せばOKです。
よって、
C=50-A-B+D=50-16-12+4=26
C=26
(2)
C=12の時、(1)と比べたら少ない数ですね。
ということは、 「おそらくNは50より小さい数になるんだろうな〜」
と思って解くことから始めましょう。どんな問題も、難しく考えてはいけません!
さて、以前数学の規則性の問題で、表を使いました。
今回も、この問題の規則性とやらを調べてみましょう。
N、A、B、D、Cの順に、得点板のように並べてみます。
こんな感じです!いかがでしょうか。
実はNを全部書く必要はありません。なぜなら、AとB、Dの数字が増えるタイミングに着目したからです。
・Aは3の倍数の個数なので、当然Nが3増える毎に1増えます。
・Bは4の倍数の個数なので、Nが4増える毎に1増えます。
・Dは12の倍数の個数なので、Nが12増える毎に1増えます。
この3つの規則性に注意して、表を書いてみましょう。
ご覧の通り、N=24のときC=12ですね!
ですが、答えはこれだけではないかもしれません。
なぜなら、Nが1増えたり減ったりしても、それに合わせてA、B、Dの数も変化し、C=12のままのことがあり得るからです!
すなわち、C=12となるNは他にもあるかもしれません。
では、N=24のご近所さんを調べてみましょう。
はい、あっさり見つかりましたね!C=12となるNは
N=23、24
です。
受験で難しいと言われる問題の多くは、公式を当てはめるだとか、そんな丸暗記で解くのではありません。
簡単に考え、コツコツとした地道な作業こそが正解にたどりつく手段となります。
ちなみにこの問題は「桐朋中学校07年第7問」です。
次回、(3)(4)に挑みましょう!